こんにちは、現役医師のこんどすです!
さっそく論文紹介コーナー第1回を始めます。
コンセプトは下記をご覧ください。
この記事では、産科麻酔や無痛分娩に関する論文を日本語で紹介しています!
産婦人科医や麻酔科医、助産師や看護師を対象にしています。
論文というと、
「英語の論文は苦手だし、読むのめんどくさいし、教科書読むだけじゃダメ?」
って、声も聞こえてきそうですが、論文に苦手意識がある人でも
この記事を読むだけで
簡単にエビデンスレベルの高い論文や最近話題の論文に触れることができます!
英語が読めなくても大丈夫!
原文リンクを貼っておくので、細かい内容が気になるはチェックしてみてくださいね。
細かい内容は忘れても大丈夫!
忘れたらまた見に来てください(笑)。
僕も勉強中です。一緒に学んでいきましょう!
さあ、一緒に勉強しよう!
今回紹介する論文は
Elective induction of labor at 39 weeks compared with expectant management: a meta-analysis of cohort studies
(妊娠39週での選択的分娩誘発と待機的管理の比較:コホート研究のメタアナリシス)
William A Grobman, Aaron B Caughey
Am J Obstet Gynecol. 2019 Oct;221(4):304-310.
原文リンクはこちら。
先に簡単に内容を説明すると
初産婦の39週での計画的な誘発は、39週を超えて待機的に管理するより母児の予後が良さそうだ
という内容です。
では、さっそく確認していきましょう!
急ぎの方は、サクッと結果からどうぞ!
アブストラクト
背景
長年にわたり、低リスクの初産婦の満期での選択的分娩誘発は、帝王切開率を高めると考えられていた
目的
観察研究をシステマチックレビュー
初産の39週での選択的誘発群と40週以上の待機的管理群を比較した
研究デザイン
4つの条件を満たす場合のみを対象とした
- 観察研究である
- 39週で誘発を受けた群と39週を超えて待機的管理されて群を比較している
- 39週で陣発兆候が見られない場合にのみ誘発群にいれた
- 初産婦のみ
- 帝王切開率
- 周産期感染症(絨毛膜羊膜炎など)
- PPH(産後の過多出血、分娩後異常出血)
- 会陰裂傷(3度または4度)
- 呼吸器合併症
- 胎便吸引症候群
- 高ビリルビン血症
- NICU入院率
- 周産期死亡率
変量効果モデルを使用して95%信頼区間により相対リスクを評価した
結果
375の研究のうち6つのコホート研究が基準を満たした
- 39週での選択的誘発群は66,019人
- 待機的管理群は584,390人
- 帝王切開率が有意に低かった
(26.4% vs 29.1%; relative risk, 0.83; 95% confidence interval, 0.74-0.93) - 周産期感染症が有意に低かった
(2.8% vs 5.2%; relative risk, 0.53; 95% confidence interval, 0.39-0.72) - PPHと会陰裂傷は有意差なし
- 呼吸器合併症が有意に低かった
(0.7% vs 1.5%; relative risk, 0.71; 95% confidence interval, 0.59-0.85) - 胎便吸引症候群が有意に低かった
(0.7% vs 3.0%; relative risk, 0.49; 95% confidence interval, 0.26-0.92) - NICU入院率が有意に低かった
(3.5% vs 5.5%; relative risk, 0.80; 95% confidence interval, 0.72-0.88) - 新生児死亡率が有意に低かった
(0.04% vs 0.2%; relative risk, 0.27; 95% confidence interval, 0.09-0.76)
結論
初産婦の39週での選択的誘発は、39週を超える待機的管理に比べて
帝王切開率、母体周産期感染症、新生児呼吸器合併症、胎便吸引症候群、NICU入院率、新生児死亡率が有意に低かった
まとめ
僕個人の意見ですが
初産婦において、予定日超過が見えてきた場合は39週を目処に誘発するのは悪くなさそうだなと思う一方で、
所見の進行がイマイチな場合は誘発の失敗率、帝王切開率の上昇を招くので39週でルーチンに誘発するのは難しいような気がします。
ただ、無痛分娩を含めて計画分娩が良いのか悪いのか、という話であれば
予後をみても計画分娩自体は悪くないと思います。
みなさんの意見あればコメントください😊