論文紹介

【第11回】最新版PONVガイドライン2020

最新版PONVガイドライン2020

こんにちは、現役医師のこんどすです!

2021年8月30日付けでグラニセトロンオンダンセトロンの術後悪心嘔吐(PONV:PostOperative Nausea and Vomiting)に対する保険適応が厚生労働省より認可されましたね!

そこで、PONV予防ガイドラインについて確認しておこうと思った人はいませんか?

今回の記事を読めば、

最新のガイドラインに沿ったマルチモーダルPONV予防ついて確認できます!

リスク評価→基本対策→制吐剤の多剤併用予防投与→レスキュー

この流れをしっかり理解しておきましょう!

マルチモーダルとは?

作用機序の異なる複数の方法を組み合わせて多角的にアプローチする方法
1つの方法で行うより強力な効果が得られる。一方で、複数の方法のそれぞれのデメリットを抑えることができる。医療以外でも使われる用語。麻酔科界隈ではよくマルチモーダル鎮痛という言葉が使われる。

論文紹介記事のコンセプトについては第1回の記事をご確認ください。

こんどす

最後に、僕のおすすめの方法も紹介します!

今回紹介するガイドラインはこちらです。

タイトル・著者・雑誌名

Fourth Consensus Guidelines for the Management of Postoperative Nausea and Vomiting

第4回PONVコンセンサスガイドライン

Tong J Gan, Kumar G Belani, Sergio Bergese, Frances Chung, Pierre Diemunsch, Ashraf S Habib, Zhaosheng Jin, Anthony L Kovac, Tricia A Meyer, Richard D Urman, Christian C Apfel, Sabry Ayad, Linda Beagley, Keith Candiotti, Marina Englesakis, Traci L Hedrick, Peter Kranke, Samuel Lee, Daniel Lipman, Harold S Minkowitz, John Morton, Beverly K Philip

Anesth Analg . 2020 Aug;131(2):411-448. doi:10.1213/ANE.0000000000004833.

原文リンクはこちら

こんどす

2020年に更新された最新版です!一緒に学んでいきましょう!

ガイドライン

今回は、大事な2つのアルゴリズムを厳選して説明します。

背景

  • PONVは術後の合併症として最も一般的で発生率は30%
  • PONVは苦痛な経験で患者の不満につながる
  • PONVは入院期間の延長や医療費の増加に関連する

成人のPONV管理アルゴリズム

成人のPONV管理アルゴリズム ©2019 American Society for Enhanced Recovery (ASER)

こんどす

リスク評価→基本対策→制吐剤の多剤併用予防投与→レスキューの流れ!

小児のPONV管理アルゴリズム

小児のPONV管理アルゴリズム ©2019 American Society for Enhanced Recovery (ASER)

もみちゃん

成人と流れは一緒だよ!


まとめ

2枚のアルゴリズムを参考にリスク評価→基本対策→制吐剤の多剤併用予防投与→レスキューの流れをマスターして実践しよう!

日本国内で現実的に行えるおすすめの方法は

術前デキサメタゾン3.3mg or 4.95mg or 6.6mg
術後ドロペリドール0.625mg

の2剤併用を軸に

術中TIVA管理(プロポフォール)
術後5-HT3 受容体拮抗薬(〜セトロン系どちらかオンダンセトロン4mg or グラニセトロン1mg)をドロペリドールと一緒に投与

で、最大4剤併用療法が一番手っ取り早いかなと思います。

TIVAに関してはレミマゾラムも吸入麻酔薬よりはいいかもしれませんね(いちおう少量のミダゾラムに制吐作用があるとのこと)

以上、参考になればうれしいです!
ご意見、ご質問等などお気軽にコメント下さい😊

もみちゃん

PONV対策は費用対効果も高いことが実証されているよ!

こんどす おすすめ書籍一覧を作成しました!