論文紹介

【第8回】DPE 有効最小サイズは26G!

第8回 DPE 有効最小サイズは26G!

こんにちは、現役医師のこんどすです!

DPE(Dural Puncture Epidural)に関する論文をいくつか紹介してきました。

25Gでは効果があるが、27Gでは効果がないことがわかりました。

では26Gはどうなのか?

DPEの話題が続いていて、そろそろ飽きているかもしれませんが、最後までお付き合いください(笑)。

DPEの針のサイズ(G数)についてはこれでいったん最後にしたいと思います。

今回の記事を読めば、やや限定的ですがDPEは26Gでも効果がありそうだとういことがわかります!

こんどす

僕は27Gを穿刺後に、ねじねじ回しながら抜いてくる試みをしています(笑)。

DPEがイマイチわかないよって人は下のメモを参考にしてください。

【第7回】無痛分娩 DPE 27Gでは効果なし!?
【第7回】無痛分娩 DPE 27Gでは効果なし!? こんにちは、現役医師のこんどすです! DPE(Dural Puncture Epidural)はいったい何Gなら効果があるのか?...

DPEに関してはこちらの記事のも参考にしてみてください。

Dural Puncture Epidural Technique Improves Labor Analgesia Quality With Fewer Side Effects Compared With Epidural and Combined Spinal Epidural Techniques: A Randomized Clinical Trial
【第2回】第3の選択肢 DPEの実力は? こんにちは、現役医師のこんどすです! 今回はDPE(Dural Puncture Epidural)についての記事です。 ...

論文紹介記事のコンセプトについては第1回の記事をご確認ください。

妊娠39週での選択的分娩誘発と待機的管理の比較:コホート研究のメタアナリシス
【第1回】分娩誘発 待つなら39週まで? こんにちは、現役医師のこんどすです! さっそく論文紹介コーナー第1回を始めます。 コンセプトは下記をご覧ください。 ...

今回紹介する論文はこちらです。

タイトル・著者・雑誌名

Labor Analgesia Onset With Dural Puncture Epidural Versus Traditional Epidural Using a 26-Gauge Whitacre Needle and 0.125% Bupivacaine Bolus: A Randomized Clinical Trial

26GWhitacre針と0.125%ブピバカインによるDPEと従来の硬膜外麻酔の鎮痛のオンセットの比較

Sylvia H Wilson 1, Bethany J Wolf, Kayla Bingham, Quiana S Scotland, John M Fox, Erick M Woltz, Latha Hebbar

Anesth Analg. 2018 Feb;126(2):545-551.

原文リンクはこちら

こんどす

比較的新しい論文です。一緒に学んでいきましょう!

アブストラクト(一部本文より追加)

背景

  • CSEA(Combined Spinal-Epidural Analgesia)とDPE(Dural Puncture Epidural)は鎮痛のオンセットを早めるテクニックの2つである
  • 0.25%ブピバカインによるDPEで鎮痛のオンセットが早くなることは実証されているが、この濃度では器械分娩を増やす可能性があるし、最近の無痛分娩の麻酔導入や維持で使われていない
  • この研究の主な目標は0.125%ブピバカインのDPEとLE(Labor Epidural)で十分な鎮痛が得られる割合を比較すること
  • “十分な鎮痛”は硬膜外に薬液を投与し始めてから10分後の、陣痛のタイミングでVAS≦10mmと定義する

方法

もみちゃん

麻酔方法は導入と維持の2つから構成されているよ。

こんどす

PCEAは産婦さんが自分でボタンを押して局麻を追加する方法で、LT(Lockout Time)は一度ボタンを押すと、何分かロックがかかって連打できないようにするシステムだよ。

結果

  1. 10分後の十分な鎮痛の割合は、DPE=55.3%vsLE=44.7%で有意差なし(P=.256)
  2. 十分な鎮痛が得られるまでの時間の中央値は、 DPE群のほうがLE群より8分 [6-10]vs10分 [8-14]で早かった(P=.042)
  3. DPEはLEと比べて、十分な鎮痛を1.67倍達成できる(relative risk = 1.67; 95% confidence interval, 1.02-2.64; P= .042)
もみちゃん

少なくとも鎮痛のオンセットが早くなることは確認できたみたい。

こんどす

硬膜外麻酔単独が10分で効くのは妙に早い気がしますがね。他の論文ではだいたい20分かかりますね。実際に行っていても最低20分くらいはかかります。

結論

  • 硬膜外への薬剤投与10分後の十分な鎮痛を得られる割合は、DPEとLEで変わらなかった
  • DPEはLEと比べてVAS≦10mmまでの時間の短縮と関連した
こんどす

本文を読んでいくと、片効きに差はないみたいです。S領域の評価はしていません。


まとめ

これまでにDPEに関する論文をいくつか紹介してきました。

DPEの長所である鎮痛のオンセットの早さは26Gでも得られますが、

やはり片効きの減少や、S領域の鎮痛、PCEA以外の追加ボーラスの減少

といった鎮痛の質の向上を狙うには、25Gで穿刺したほうが効果的でしょう。

25Gペンシルポイント針によるPDPHは約0.1%で、リスクに対してリターンは大きいです。

僕は、脊硬麻キットのスパイナル針を27Gから25Gに変更カスタマイズしたいなぁと思っています。

以上、参考になればうれしいです!

ご意見、ご質問等などお気軽にコメント下さい😊

こんどす

やっぱりDPEがおすすめ!