論文紹介

【第12回】PIEB 注入圧による効果の差は?

PIEB 注入圧による効果の差は?

こんにちは、現役医師のこんどすです!

PIEBについて深堀りしていきます。

以前、PIEBについてのコクランレビューを紹介しました。

PIEBは注入圧が高いとより効率的に広がると言われていて、CEIを上回る効果はこのためです。

今回紹介する論文はPIEBの注入速度を比較した試験です。

僕は当然、注入速度が速いほうが麻酔がよく広がり、鎮痛の質が高いと思っていました。

しかし、どうやらある一定の圧を超える注入圧では鎮痛の質や麻酔レベルにあまり影響しないかもしれません。

前向きに考えれば、「PIEBを行うポンプの注入速度」まで気にしなくても大丈夫とも言えそうです。

今回の記事を読めば、PIEBの注入圧による効果の差がわかります!

CEI(Continuous Epidural Infusion)=硬膜外持続投与

PIEB(Programmed Intermittent Epidural Bolus)=硬膜外間欠投与

CADD Solis=スミスメディカルから販売されるPCAポンプでCEIやPIEB+PCEAが設定できる

PIEBの原理については前回の記事をチェックしてみてください。

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論文紹介記事のコンセプトについては第1回の記事をご確認ください。

今回紹介する論文はこちらです。

タイトル・著者・雑誌名

Effect of Epidural Infusion Bolus Delivery Rate on the Duration of Labor Analgesia: A Randomized Clinical Trial

硬膜外への薬液注入速度が無痛分娩へ与える影響:RCT

Elizabeth M S Lange, Cynthia A Wong, Paul C Fitzgerald, Wilmer F Davila, Suman Rao, Robert J McCarthy, Paloma Toledo

Anesthesiology. 2018 Apr;128(4):745-753.

原文リンクはこちら

こんどす

市販のCADDを使った研究です!一緒に学んでいきましょう!

アブストラクト(一部本文より追加)

背景

  • PIEBはCEIより優れていると言われている
  • 硬膜外腔への注入速度が速いと、カテーテル開口部での圧力が上がり、薬物の広がりを向上させるかもしれない
  • 薬物の注入速度を速くすることで、産痛緩和を改善し、BTPに対する医療スタッフの追加ボーラスを減少させると仮定した

方法

単胎妊娠の初産婦で、無痛分娩希望時の子宮口開大≦5cmの女性がRCTの対象となった

もみちゃん

どちらの流量も同一のCADD-Solisを使っているよ!

結果

low-rate108人 vs high-rarte102人

プライマリーアウトカム+α

医療スタッフの追加ボーラスを要求した割合は変わらなかった
(difference -4.4%; 95% CI of the difference, -18.5 to 9.1%; P = 0.67)

実際に投与されたボーラス回数に対する要求の割合(=PCEA要求頻度)と時間あたりのブピバカインの使用量に差はなかった

運動神経ブロックの頻度は変わらなかった
(difference, 4%; 95% CI, –5 to 13%; P = 0.31)

1時間後の麻酔レベルの中央値はTh6でグループ間で差がなかった

こんどす

要するにどちらでも変わらなかったってこと!

結論

医療スタッフの介入、患者による追加ボーラスの必要性、時間あたりのブピバカインの使用量で評価したが、
鎮痛の質は注入速度を速くしても改善されない


まとめ

PIEBを行う際は、使用するポンプの注入速度まで厳密に気になくてもよさそうですね!

日本では主にCADD-Solisがよく使われていますが

最近発売されたエイミーPCAでもokですね!

ちなみにエイミーPCAの注入速度は100ml/hです。

以上、参考になればうれしいです!
ご意見、ご質問等などお気軽にコメント下さい😊

こんどす

エイミーPCA操作性は抜群に良かったよ!

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