こんにちは、現役医師のこんどすです!
みなさんは無痛分娩をCSEA(Combined Spinal-Epidural Anesthesia:脊髄くも膜下硬膜外併用麻酔)で行う時に
脊髄くも膜下への薬液投与をマニュアル通りの量、いつも通りの量を投与していると思います。
ところで、その量は本当に適切な量なのか、疑問に思ったことはありませんか?
今回の記事を読めば、無痛分娩を行う際の脊髄くも膜下への最適な薬液量がわかります!
論文紹介の趣旨については第1回の記事をご確認ください。
今回紹介する論文はこちらです。
Determination of the ED95 for intrathecal plain bupivacaine combined with fentanyl in active labor
アクティブ期の陣痛におけるフェンタニルを添加した等比重ブピバカインの脊髄くも膜下へのED95の決定
R Whitty, E Goldszmidt, R K Parkes, J C A Carvalho
Int J Obstet Anesth. 2007 Oct;16(4):341-5.
原文リンクはこちら。
一緒に学んでいきましょう!
アブストラクト(一部本文より追加)
背景
- CSEAは陣痛の特にアクティブフェーズに有効である
- 脊髄くも膜下へのブピバカインの過剰投与は副作用と関連している可能性がある
- この研究の目的は等比重ブピバカイン(+フェンタニル15μg)のED95を推定することである
主な副作用は、胎児一過性徐脈、運動神経遮断、かゆみのことだよ
方法
- 40人のアクティブ期(子宮口開大≧5cmかつNRS≧6/10点)の健康産婦に等比重ブピバカイン(+フェンタニル15μg)でCSEAを行った
- 等比重ブピバカインの初期投与量は1.75mgから始めて、ED95に収束するように0.25mgずつ調整した(Narayanaルール)
- 10分以内のNRS≦1で有効と定義された
しっかり陣痛がついてきて、ある程度所見が進んでいる人が対象っていうのが良いですね!有効性の判定も厳しめ!
結果
100%は1.75mg(95% CI 84.6-100.0%)
95%は1.66mg(95% CI 1.50-482.5 mg)
85%は1.50mg(95% CI 64.0-95.8%)
ED95は95%の人に有効な量って意味だよ
胎児徐脈 7.5%
掻痒 55%
運動神経遮断・呼吸抑制・嘔気嘔吐 0%
結論
ブピバカイン1.75mg+フェンタニル15μgの組み合わせは、迅速かつ確実にアクティブ期の産痛を軽減した。
まとめ
脊髄くも膜下への最適な薬液量がわかりました。
フェンタニルを多く投与すると、胎児一過性徐脈の出現が増える報告もあります。
しかし、フェンタニルを入れないとブピバカインの量が増えてしまいます。
等比重マーカインED100の1.75mgは、私たちがよく使用する脊麻用等比重0.5%マーカインだと0.35mlですね。
残念がら脊麻用0.125%マーカインはないので、1.75mg用意するのはなかなか難しいです。
僕は等比重マーカインを2.0mg(0.5%等比重マーカイン0.4ml)で行っています。
以上、参考になればうれしいです!
ご意見、ご質問等などお気軽にコメント下さい😊
過量投与になっていそうなら、一度見直してみよう!