こんにちは、現役医師のこんどすです!
DPE(Dural Puncture Epidural)に関する論文をいくつか紹介してきました。
25Gでは効果があるが、27Gでは効果がないことがわかりました。
では26Gはどうなのか?
DPEの話題が続いていて、そろそろ飽きているかもしれませんが、最後までお付き合いください(笑)。
DPEの針のサイズ(G数)についてはこれでいったん最後にしたいと思います。
今回の記事を読めば、やや限定的ですがDPEは26Gでも効果がありそうだとういことがわかります!
僕は27Gを穿刺後に、ねじねじ回しながら抜いてくる試みをしています(笑)。
DPEがイマイチわかないよって人は下のメモを参考にしてください。
DPEに関してはこちらの記事のも参考にしてみてください。
論文紹介記事のコンセプトについては第1回の記事をご確認ください。
今回紹介する論文はこちらです。
Labor Analgesia Onset With Dural Puncture Epidural Versus Traditional Epidural Using a 26-Gauge Whitacre Needle and 0.125% Bupivacaine Bolus: A Randomized Clinical Trial
26GWhitacre針と0.125%ブピバカインによるDPEと従来の硬膜外麻酔の鎮痛のオンセットの比較
Sylvia H Wilson 1, Bethany J Wolf, Kayla Bingham, Quiana S Scotland, John M Fox, Erick M Woltz, Latha Hebbar
Anesth Analg. 2018 Feb;126(2):545-551.
原文リンクはこちら。
比較的新しい論文です。一緒に学んでいきましょう!
アブストラクト(一部本文より追加)
背景
- CSEA(Combined Spinal-Epidural Analgesia)とDPE(Dural Puncture Epidural)は鎮痛のオンセットを早めるテクニックの2つである
- 0.25%ブピバカインによるDPEで鎮痛のオンセットが早くなることは実証されているが、この濃度では器械分娩を増やす可能性があるし、最近の無痛分娩の麻酔導入や維持で使われていない
- この研究の主な目標は0.125%ブピバカインのDPEとLE(Labor Epidural)で十分な鎮痛が得られる割合を比較すること
- “十分な鎮痛”は硬膜外に薬液を投与し始めてから10分後の、陣痛のタイミングでVAS≦10mmと定義する
方法
- 80人をLE群とDPE群にランダムに割り付けた
- 硬膜外麻酔直前に、VASスコアを測定し、VAS<50mmは除外した
- DPEは26GWhitacre針で穿刺した
- 1.5%リドカイン(アドレナリン5μg/ml)3mlでテストドーズ
- 導入は0.125%ブピバカイン(フェンタニル50μg含む)12mlを3分かけて投与
- 維持は0.1%ブピバカイン(フェンタニル2μg/ml)10ml/h、PCEA5ml/LT10分
- 硬膜外への薬剤投与開始時間をゼロとして、2分ごとに20分間、VASを測定した
麻酔方法は導入と維持の2つから構成されているよ。
PCEAは産婦さんが自分でボタンを押して局麻を追加する方法で、LT(Lockout Time)は一度ボタンを押すと、何分かロックがかかって連打できないようにするシステムだよ。
結果
- 10分後の十分な鎮痛の割合は、DPE=55.3%vsLE=44.7%で有意差なし(P=.256)
- 十分な鎮痛が得られるまでの時間の中央値は、 DPE群のほうがLE群より8分 [6-10]vs10分 [8-14]で早かった(P=.042)
- DPEはLEと比べて、十分な鎮痛を1.67倍達成できる(relative risk = 1.67; 95% confidence interval, 1.02-2.64; P= .042)
少なくとも鎮痛のオンセットが早くなることは確認できたみたい。
硬膜外麻酔単独が10分で効くのは妙に早い気がしますがね。他の論文ではだいたい20分かかりますね。実際に行っていても最低20分くらいはかかります。
結論
- 硬膜外への薬剤投与10分後の十分な鎮痛を得られる割合は、DPEとLEで変わらなかった
- DPEはLEと比べてVAS≦10mmまでの時間の短縮と関連した
本文を読んでいくと、片効きに差はないみたいです。S領域の評価はしていません。
まとめ
これまでにDPEに関する論文をいくつか紹介してきました。
DPEの長所である鎮痛のオンセットの早さは26Gでも得られますが、
やはり片効きの減少や、S領域の鎮痛、PCEA以外の追加ボーラスの減少
といった鎮痛の質の向上を狙うには、25Gで穿刺したほうが効果的でしょう。
25Gペンシルポイント針によるPDPHは約0.1%で、リスクに対してリターンは大きいです。
僕は、脊硬麻キットのスパイナル針を27Gから25Gに変更カスタマイズしたいなぁと思っています。
以上、参考になればうれしいです!
ご意見、ご質問等などお気軽にコメント下さい😊
やっぱりDPEがおすすめ!