こんにちは、現役医師のこんどすです!
無痛分娩の麻酔維持の方法にはCEIとPIEBがあります。
前回は、PIEBについてのコクランレビューを紹介しました。
PIEBはBTPの減少、局所麻酔の総使用量の減少、母体の満足度の増加が期待できます。
僕たちがPIEBを行おうと思ったら市販のPIEBができるポンプ(CADD Solis:以下CADD)を使うしかありません。
実は、コクランレビューにはCADD販売以前のデータも含まれています。
と、いうことでCADDのPIEBはちゃんとCEIを上回るの効果があるのか?
今回の記事を読めば、CADDを使ったPIEBの効果がわかります!
CEI(Continuous Epidural Infusion)=硬膜外持続投与
PIEB(Programmed Intermittent Epidural Bolus)=硬膜外間欠投与
CADD Solis=スミスメディカルから販売されるPCAポンプでCEIやPIEB+PCEAが設定できる
PIEBの原理については前回の記事をチェックしてみてください。
論文紹介記事のコンセプトについては第1回の記事をご確認ください。
今回紹介する論文はこちらです。
Comparison of Programmed Intermittent Epidural Boluses With Continuous Epidural Infusion for the Maintenance of Labor Analgesia: A Randomized, Controlled, Double-Blind Study
無痛分娩の麻酔維持に対するPIEBとCEIの比較:二重盲検無作為化比較試験(RCT)
Oluremi A Ojo, Jennifer E Mehdiratta, Brock H Gamez, John Hunting, Ashraf S Habib
Anesth Analg. 2020 Feb;130(2):426-435.
原文リンクはこちら。
2020年のRCTです!一緒に学んでいきましょう!
アブストラクト(一部本文より追加)
背景
- PIEBはCEIと比べて、局麻の広がりを向上させるかもしれない
- 産痛緩和を向上し、産科的アウトカムもよくなるかもしれない
- 市販のポンプであるCADDを使用したデータを集めることにした
- PIEBvsCEIで産痛緩和と母体新生児アウトカムへの影響を比較した
- PIEBはCEIと比較して、PCEAの使用量を減少させると仮説を立てた
方法
- 麻酔導入と維持は0.1%ロピバカイン(フェンタニル2μg/ml)を使用
- 導入は
2分ごとに5ml投与で合計20mlでトップアップ - 維持は
PIEB 6ml/45min(導入30分後に初回ボーラス)
CEI 8ml/h(導入直後から開始)
PCEA 8ml/LT10min(時間あたり45mlまで) - CADD Solisの注入速度は250ml/h(PIEBもPCEAも)
持続やPIEBの量は少なめで、PCEAのボリュームがあるタイプです。
- PCEAの時間あたりの使用量
- 医療者による介入
- PCEAの使用パターン
- 運動神経ブロック
- 母体低血圧
- 疼痛スコア
- 分娩2期の時間
- 分娩様式
- 母体満足度
局麻の使用量の減少、BTPの減少、母体満足度の向上がコクランで有意差ありになってたよ。
結果
- 120人がランダム化
- PIEB 61人 vs CEI 59人
時間あたりのPCEAの使用量の中央値は有意差なし
(CEI 4.5 mL/h (3.0-8.6 mL/h) vs PIEB 4.0 mL/h (2.2-7.1 mL/h) (P = .17))
PCEAが減らない。。。
疼痛スコアも母体満足度も。。。
PIEBのほうがCEIよりPCEA要求回数/実際の投与量、が多い
(PIEB 0.17 [0.10-0.30] vs CEI 0.12 [0.08-0.18]; P = .03)
※ポンプからの局麻総量は変わらない
※医療者による追加ボーラスも変わらない
CEIの方がPIEBよりBromage score <5の運動神経ブロックが多い
(PIEB 27.5% vs CEI 50.0%; P = .03)
※Bromage=5は運動ブロック全くなしの状態
Bromage<5はなにかしら運動ブロックがある状態(股関節>膝>足首>完全ブロック)
それ以外(医療スタッフに介入、疼痛スコア、分娩第2期、分娩様式、母体満満足度)は有意差なし
結論
- PIEBの方が運動神経ブロックは少ない
- それ以外に、CEIに比べてPIEBの方がアウトカムがいいとは言えなかった
まとめ
コクランレビューはその時点での見解を代表するところがありますが
今回のように、より新しい研究のみを対象にすると見解が変わりうるかもしれません。
定期的に情報をアップデートする必要がありますね。
特殊な機械ではなく、市販のポンプを使ったPIEBは
今回の研究では従来期待されていた効果を得ることができませんでした。
が、少なくともCEIと比較してデメリットや下回る効果はありませんでしたね!
僕の見解としては
今回の研究は、PCEAが1回8mlとボリュームが多いのでそもそも
CEIやPIEBにPCEAを併用しなくても、PCEAのみでコントールできるのではと思いました。
ちなみに僕の施設では全例PIEB+PCEAで維持しています。
以上、参考になればうれしいです!
ご意見、ご質問等などお気軽にコメント下さい😊
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